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ERICニュース825号 よりよい教育をすべての人に 2022年11月13日

(文責: かくた なおこ 角田尚子

http://ericweblog.exblog.jp/

twitter : kakuta09  FB)

 新幹線にも賑わいがもどりはじめているようですね。あちこちと「いっぱいだった」という書き込みを見ていましたが、実際に今回、小水力推進全国会議に参加するのに京都に向かう道中、自由席がほぼ満席。久しぶりだあ!!!

 若い人たちのワクチン接種が進まない中、感染者数は増えていますが、重症者数は多くはありません。知人の中にも感染したという話は聞きますが、重篤化したということは聞かないし。過度に恐れず、基本的な感染症対策は継続しつつ、楽しい、活発な日常を取り戻しましょう。

 とはいえ、基本的な感染症対策が定着することは望ましいと思うので、うがい・手洗いの習慣はつけましょうね。

 この間、歯医者探しに勤しんでいて、感心した歯科医院が一つありました。スリッパに履き替えるという手順を省いている医院です。都会の来訪者の靴は、土足とはいえ、土などついていることはなく、清掃、消毒をきっちりすれば、問題ないレベル。スリッパは足元が不安な人にとっては怖いものです。それに、外出時に装具をつけている人、歩きやすい靴を選んでいる人なども多いのではないでしょうか?

 これまでのかかりつけ医では、コロナになって以来、スリッパの消毒器を導入、一手間増えていました。スリッパなしがいつからか聞くのを忘れていましたが、最近のことのようです。考えてみれば、普通の病院では土足が当たり前。診療室でもなんでも土足で出入りしています。これでいいのだ!!

 ということで合理的な判断ができる歯科医院に一票。親知らず問題も解決したし、かかりつけ歯科の移行もこれで決定か? しかも良心的価格帯。これぞ保険医療。やたら口内写真やらレントゲンやら撮る歯科医の梯子にならずに済んでよかったあ。歯科医師、おかしいやろ、そのような情報共有が進んでいないなんて。

 




◇◆◇ERICニュース825号 目次 ◇◆◇


◆◇◆1. 人権感覚を育てるとは? 行政は正義のみかた

◆◇◆2. 2022年度 ERIC主催研修の予定

◆◇◆3. with ERICこれまでの活動



◆◇◆1. 人権感覚を育てるとは? 行政は正義のみかた ◆◇◆


 とーっても久しぶりに対面式の参加型人権研修を行政職員相手に行いました。2時間半の研修です。プログラムをアップするのも久しぶりです。

https://ericweblog.exblog.jp/241649604/


 口開けは声がかすれ気味だったのはご愛敬。マスクとマイクで音量調整が難しいですね。


 国際理解教育センターがなぜ「人権」研修なのかを伝えるため、まず「5分でたどる国際理解教育の歴史」。実際は15分近くかかっていました。


 1947年に国連が国連理解と各国の相互理解を促進する国際理解教育を提唱。ユネスコが国際的な推進母体となりました。1974年にユネスコ勧告で国際理解教育の六つの柱と国際理解教育が問題解決のための教育であると明記されました。環境、人権など、人類共通の課題が異文化理解などの相互理解に加わったのです。1972年の国連環境と開発に関するストックホルム会議の開催は、環境問題が、公害問題のような住民運動による地域限定的な問題ではなく、人類の課題として考えなければ、「公害輸出」や「廃棄物」の問題など、問題の押し付けあいに終始するだけで、問題解決には至らないことを明らかにしたのです。

 それは人権問題についても同様です。第二次世界大戦後出された世界人権宣言は、大戦中に起こったホロコースト、ユダヤ人大虐殺のような問題に、国際社会が取り組むべきだという認識から生まれました。「アウシュヴィッツは繰り返さない」。一国の中で行われることは、その国の内政問題だから国際社会は不干渉であるべきだという態度では人権は守れない。国家の枠を超えて、人権侵害を許さないことが国際社会の規範となったのです。

 いま、日本が入国管理局における人権侵害について、国際社会から勧告を受けているのも、そのような背景があるからです。


 とほとんど当たり前になっているような辺りを押さえた上で、「いじめ問題」。ペアで資料にある「いじめ問題の構造図」を参考に、自分たちが体験したいじめの構造を描いてもらっている間に、わたし自身の体験したいじめの構造を板書。中学生の時の、あるいじめとその顛末です。いじめはほとんど一人の男子生徒による言葉による攻撃でした。もちろん、その女生徒も「やめてよ」などの意思表示をしていましたが、執拗に繰り返される攻撃に、彼女は不登校になったのです。学級委員だったわたしは、一度、彼女の家を訪ね、学校へ来るように誘ったのです。その時、わたしが感じたのは、欺瞞でした。彼女と本当に友人になりたいわけではない。にもかかわらず、親切ごかしに誘い出す。誘ったところで学校の状況は変わっていない。変わるとすれば、教員が男子生徒を徹底的に力で押さえつけ、言葉によるいじめを止めることでしかなかったでしょう。

 それはなんの解決にもならないのです。


 本当の解決はなんだったでしょうか? あるいは少しでもマシな解決はなんだったでしょうか?


 人権の視点が必要なことは言うまでもありません。が、そこに行く前に、そのような構造の中で、自分自身の、大抵は「傍観者」であり、いじめっ子に加担はしないまでも、止めるほどのコミットメントも持てない心根の理解に踏み込みましょう。わたしだって、虐められている彼女の味方をすることに欺瞞を感じていたのですから。学級委員だから、先生に言われたから、可哀想だから。そんな気持ちで取り組んでいたにすぎないのです。その行動だって、チョー少数派であったわけですから。問題解決になどなるはずがない。

 ここで、なぜ「いじめ」に「否や」を言う人が少ないかを「日本社会の」で分析してもらいます。日本型コンフリクト研究会で発見した日本人のコンフリクトを避ける傾向の背景にある文化的な傾向です。これはホフステッドという人が、世界のIBMの各国支社の比較分析から明らかにした相対的な特徴です。調査は五つの指標について行われ、その中の三つの指標について、日本は特徴的であったというものです。(ホントウは4つなのですが、もう一つは省いています。)

 その三つの指標というのが「○=均質さを好む」「△=上下関係がきつい」「□=変化を好まない」です。そのような文化的な傾向があれば、「なぜ、異議申し立てをしにくいか」、いじめやハラスメントが起こっている時に、声を上げにくいのかを考えてもらいました。


 「均質さを好む」に対しては「仲間外れが怖い」、「△=上下関係がきつい」と「報復が怖い」、「□=変化を好まない」ところでは「出る杭は打たれる」など、わたしたちは皆「社会的びくびく人間」なのです。どうすればいいのかなあ。「心掛け」を10個、グループで考えてもらって、ギャラリー方式で共有。


 これまでの研修では、ここまででした。分析して、対策考えて、「できる限り、声をあげられる人間になろう」ってな結論です。欺瞞はそのまま放置です。


 何が違わなければならないのか?


 わたしの事例で言えば、「いじめられっ子」の学習権の侵害という視点が必要なのです。誰が彼女の学習権を侵害しているのでしょうか? いじめっ子でしょうか? もちろん、彼が原因なのですが、その彼を放置している学級にも問題がありますよね。誰が彼女の学習権を保障すべきなのでしょうか?


 そういう人権問題という視点を立てた時に初めて、学級全体の課題になるのではないでしょうか? もしも、あの時、教員が「不登校になった彼女の侵害された権利」について問題提起していたら、わたしは声をあげることに欺瞞を感じなかったと思います。


 社会的びくびく人間というのは、関係性重視。人権という普遍的な人間性の問題を提起で切るのは「信頼社会」だけなのです。


 関係性重視から人間性重視への脱皮。


 ここまで1時間半ほど。


 その後、「教室の中の世界」から正義論、配分の適切さが正義であり、正義がなされている社会は秩序ある社会として安定である。行政は社会の配分とその決定の手続きについて正義の味方でなければならない。


 最後は「アライとしての心掛け」を考えてもらいましたが、その内容は「」直後とあまり変わりません。どうでしょう? 人権を根っこに据えるというのは、どのような具体的な行動として現れるべきなのでしょうか?


 一歩前進したように思いますが、まだまだですね。


 でも、参加型は楽しい。深い。「みんなの頭で考える」「モヤモヤを持ち帰る」。頭痛の種であり、頭痛薬でもある、そんなファシリテーター道を邁進したいものです。







1 社会を変えていくための理論


・人間の性質を考慮する

・権力を理解する

・権威や真理を理解する

・社会問題の原因

・社会を変えていくための個人と組織の役割

・変えるのは可能か、そしてビジョンは

・変化のしくみと変化の可能性









◆◇◆2. 2022年度 ERIC主催研修 予定◆◇◆

2022年度の主催研修の日程です。

前期 【テーマ: ESDイシューズについて学ぼう!

3つのテーマから課題に気づき、問題解決に取り組む

国際理解  2022年6月25-26日

環境2022年7月30-31日

人権2022年9月24-25日

後期 【スキル: ESDコンピテンシーを育てる!

3つのキー・コンピテンシーで問題解決の力を高める

わたし2022年10月29-30日

あなた2022年11月26-27日

みんな2023年 1月28-29日


TEST教育力向上講座は2023年3月末開催予定です。

【教育力向上講座=一年のふりかえりと次年度に向けた心がけ=

20233月 TEST Teachers and Trainers Effective Skills Training


対面式、オンライン、その混合、いずれの方法でも、オンデマンドで少人数でも開催致しますので、以上の日程にかかわらず、ご相談ください。


割引制度、ご活用ください。

 2021年度も引き続き、ERIC Next、新事務所での開催については「リピーター割引」「学びの共同体割引」を設けます。これまでERICの主催研修を受講したことのある方は参加費を半額の1万円。リピーターの方を含む複数人の方3人まで、3万円。宿泊も三人の方まで対応可能です! ご相談ください。


オンライン参加の場合は、参加費は一日5000円です。


一泊二日の12時間研修、その他6時間研修などをグループのために行うことも可能です。ご検討ください。




◆◇◆3.  with ERIC ERICとともにすすめてきたこれまでの活動 ◆◇◆


ERICの「よりよい教育」のための活動、まとめてみました。


NIEDとのコラボ企画です。第一回を2022416(土曜日)16:30-18:30 に実施しました。伊沢さんの記録のまとめも入れました。

https://ericweblog.exblog.jp/241424619/


案内のチラシも美しかったです。

https://ericweblog.exblog.jp/241421995/


ERICニュースにNIEDの伊沢さんが寄稿していただいています。そちらもどうぞ!

https://esdteachusall.exblog.jp/32571641/


第二回のまとめはこちらから

https://ericweblog.exblog.jp/241513921/


第三回


継続中 PLT定例会

毎月、第一土曜日、午前9時から約1時間ほど、PLT定例会を開催しています。

Zoomミーティングに参加する

https://us04web.zoom.us/j/75102007985?pwd=a3cwZ0NhVEdlUWlOaEtVdllMUjBzUT09


ミーティングID: 751 0200 7985

パスコード: nwE6DX


■2021年4月8日に、PLT木と学ぼうの新しいガイドがリリースされました!

https://ericweblog.exblog.jp/240919124/



■FCスピンオフ企画「文明病 勉強会」 2015

2015年度のスピンオフ企画で「文明病」について考えました。ナオミ・クラインが気候変動の問題について、科学技術で問題解決をしようという400年以上続くマインドセットが、いま、人間らしい暮らしのみならず、地球環境まで脅かしていることを告発した『This Changes Everything!』の上映会もしました。

http://ericweblog.exblog.jp/21919196/


地球温暖化も環境全体に対する文明病と捉えることができますが、化学物質過敏症との間に「化石燃料依存由来」という共通項がありますね。


2016128 第一回

http://ericweblog.exblog.jp/22327697/

2016210日 第二回

https://ericweblog.exblog.jp/22426262/


文明病の痛みは誰が負う? 2014224日投稿

https://ericweblog.exblog.jp/19501478/

文明病の痛みは誰が負う? 研修記録 2014228日実施

https://ericweblog.exblog.jp/19526903/


2016年度には「特権学」についての学びがありましたが、「特権」とは文明の「当たり前」の側にいること、そして、もう一つ、「青い芝の会」の行動要領に「我らは健全者文明を否定する」というのがあり、これも文明病について考えたい視点につながると思います。



FCスピンオフ企画「犯罪弱者 勉強会」 2014

2014年度のファシリテーターズ・カレッジで学んだ方によるスピンオフ企画です。いまの刑務所に障害をもった人や高齢者などの率が高くなっているし、彼らの再犯率も高いという現状から、犯罪の被害者だけでなく、加害者も社会的弱者である場合が多いのではないかというのが、「犯罪弱者」という言葉の背景にある問題意識でした。

第一回報告と予告

http://ericweblog.exblog.jp/20483146/

第三回予定

http://ericweblog.exblog.jp/20720541/

第三回記録

http://ericweblog.exblog.jp/20840402/


【参考文献】

居場所を探して 累犯障害者たち

長崎新聞社「累犯障害者問題取材班」、長崎新聞社、2012

http://ericweblog.exblog.jp/20799450/


民主主義の学校のまとめはこちら。

http://ericweblog.exblog.jp/20978542/


「民主主義の学校」など、これまでの連載をまとめました。

http://ericweblog.exblog.jp/21067171


アクティブな教育を実現する対話と共考-ESD的教育力向上を目指して

インタビュー10 本、ブログ http://ead2011.exblog.jp/

リスク・コミュニケーションを対話と共考の場づくりに活かす

日立環境財団からの助成金プロジェクトおよびテキストの翻訳

 http://focusrisk.exblog.jp/

■PLT Focus on Forest 一部翻訳 「森の健康診断」

ForestHealthCheck.pdf ERICホームページにアップ予定

■PLT大学生ショートプログラム

http://www.eric-net.org/news/PLTForestNova2014.pdf

■Learning to Care

http://ericweblog.exblog.jp/18988618/

平和の文化への道を拓く平和教育 翻訳プロジェクト

http://pepathway.exblog.jp

インフォグラフィックス研究会(ERIC主催)

ゆるキャラ「リカリン」

■PLT 『世界の森林』 Forest of the World


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by eric-news | 2022-11-13 12:35 | BQOEよりよい質の教育を目指して | Comments(0)

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